前篇は「現代日本人が抱える食の問題」
後篇は「食とどう向き合えばいいのか」
というテーマです。
(前篇はこちらから
👉『四毒抜き』は正しいのか?日本人にとっての〝食〟の原点|ちこ × 川嶋政輝(前篇))

ちこ:先ほど冒頭でお伝えしたように、(毒という)言葉のインパクトはありますけれども、それだけに気を取られてもいけないというか。
毒か毒じゃないかという二元論ではなく、「ひとつの体のリセット」として柔軟に取り入れるのがいいなと思っています。
ゆにわでは、パン屋やパティスリー、レストラン、べじらーめんなど、いろいろなジャンルで食を表現しているので、良質な素材を選んではいますが、当然これら4つの食材も使ってきました。
ただ、パンで言えば、有機小麦のパンとグルテンフリーの米粉パンを2つご用意していたのですが、さらに3つ目の選択肢として「四徳パン」を完成させました。

川嶋:米粉パンでも少量の乳製品や生成されていない きび砂糖などを使うことがありますが、四徳パンはそれらを一切使わずにつくったんですよね。
「小麦・乳製品・植物油・甘いもの」を使わずにパンをつくるって、「むしろ、この4つでできてるのがパンやろ!」って思いますよね(笑)
ちこ:本当に4つの食材が、ふわふわで柔らかく、甘くする素材ですから。
最初は試作を繰り返して、ようやく米粉パンができたと。
これでグルテンを控えているひとも食べられるな、と思ったら、次は「四徳パン」の話になり、神様のお告げなのか、「終わりがないぞ」と言われているのかなと(笑)。
でも、それだけ選択肢が必要になっていると感じ、大急ぎで試作を繰り返して形にしました。
川嶋:これが味気ないかと思いきや、ゆにわの四徳メニューは美味しいんですよね。

ちこ:そうなんですよね。
ゆにわのパンスタッフに加えて、『ポラリス診療所』院長の亀井先生もパンづくりに入ってらっしゃって。

本当に体にいい素材でどこまでできるか? と挑戦するなかで、じつは最初は美味しくなくて……(笑)。
「パンといえばこういうもの」という印象が強いので、「これは『パンではない』と思わないと食べられないかも……」というところからスタートしました。
そこから発酵の力を借りたり、いろんな食材を吟味したりして、やっと四徳パンができました。
小麦は小麦の良さがあるし、米粉パンの良さもありますが、四徳パンは素材の味をストレートに感じられますよね。
砂糖などの甘いものを使うことが良くないというよりも、いまはどんどん過剰になりすぎて、「こんなにいる?」と思うくらい入っていますよね。
飲み物もお菓子も、もう砂糖の塊だなと思うくらい、量が入りすぎています。
食生活でも、「小麦パンばっかり毎日食べる」というのは、明らかに食べすぎになってしまいますよね。
もちろん、それでも大丈夫という方も一部いらっしゃるのですが、「合わない方もいる」という理解が大切なんですね。
そこの選択肢を持って、食べたあと「重いのかな、軽いのかな」「眠いかな、眠くないかな」「しんどいかな、しんどくないか」みたいなところを感じることが大事ですね。
年齢によっても変わってくるので、その〝声〟を聴いてあげないといけないのだなと。
わたしたち作り手としても、食べられた方の〝声なき声〟というのを、できるだけ聞けるようにしたいという思いから、「四徳」という表現をするようになって、今だと「四徳あずきパン」がお気に入りです。

最初はあんパンを作ろうとしたんですが、砂糖を使わずに麹と小豆で炊くと、どうやっても「あんこ」の路線にならなかったんですよ。
「あんこ」というと、砂糖を求めてしまうなと。
だから、名前変えよと思って(笑)
川嶋:でもね、名前の印象ありますからね。
ちこ:そうなんですよ。
これすごい重要で、もうね、残ってるんですよ印象が。
「あんこ」のままいくと、ぜんぶ物足りないとなってしまうので、呼び名を変えて「あずきパン」にしたら、小豆本来の味が味わえる滋味深いパンになりました。
これはこれの良さなんですよ。
川嶋:噛めば噛むほど甘みが出てくるから、必然的によく噛んで食べるようになりますよね。
ちこ:そうなんです。あと、「四徳カスタードパン(クリームパン)」もできました。

川嶋:あれビックリしました。クリームって乳製品でしかないやん、と思いましたけど、使ってないんですもんね。
ちこ:まさか乳製品と砂糖使わずにできるかいな、って感じじゃないですか。
できたんですよ。
これも従来の甘い「クリームパン」を想像すると違うので、ネーミングを工夫しています。
そうやって、食の在り方ですよね。
本来、四徳抜きをやりたいと思っても、「やらなければならない」「やっていないものは全部ダメだ」と精神的ストレスにしてしまうと、食事本来の意味を見失ってしまうなと危惧はしています。
これは健康食はぜんぶだと思います。
食の二元論に陥らないために
川嶋:何を食べるのが善で、何が悪なのかという善悪二元論になってしまいますよね。
実際に「四毒が絶対にいいんだ」という方と「それは絶対にやるべきではない」という方がいらっしゃったりしますが。
ちこ:戦争になっちゃうんですよね、考えの。
川嶋:これが、メディアでも起こるし、家庭内でも奥さんがそれを実践したい、けど子どもや旦那さんは反対する、となって、一緒に食卓を囲めなくなってしまっては、何のための食事かわかりません。
ゆにわでは、両方の選択肢を持てるように余白を作っていますね。
ちこ:はい。余白がないと、断罪的になってしまいますし。
そうは言いながらも、わたしもそういった思考だったので、昔は玄米菜食が「これだ!」と信じてやっていましたが、「そうじゃないものが悪」「わたしは正しいことをしているんだ!」と思うと、食事の本質を見失ってしまって、楽しさがなくなりました。
そうでないものを見たときに、(食べれないな、、)と思ったり、それを食べている人と相容れなくなってしまいましたし、体も一向に良くならず、皮膚も荒れてしまいました。
それは「玄米菜食」がダメというより、食べ方や考え方もセットでないといけなかったんです。
「これだけ食べたらいい」だけでいったときの、攻撃的な思考になると良くないなと。
わたし自身も、自分の考え方ですごい苦しんだ経験から、ただ考えの偏りになるといけないなという背景から、小麦も米粉も四徳も選べるようにしています。

川嶋:食べ方は生き方そのもので、何を食べるかは自分自身の明日を選ぶことであり、思考のクセもぜんぶウツっています。
それが、師匠の北極老人からずっと教わってきた軸ですね。
四徳を取り入れるか否かは、人それぞれ選択肢がある中で、どうそこに向き合える自分でいるかがすごく大事ということですよね。
そういう意味で言うと、この4種類の食材は、たしかに日本人は食べてこなかったものがほとんどですけど、世界規模で見れば、それにお世話になって、命をつないできたものです。
小麦なんかは、キリスト教では神聖な食べ物として扱われてきたにもかかわらず、過度な精製や品種改良をへて、もともとの自然物を人間がコントロールしようとした結果、まるで自然からの報復に遭っているようです。
『ホモサピエンス全史』では、「小麦の奴隷」とも書かれていましたしね。
ちこ:本来、人類を救いに来たのに、小麦をつくることに奴隷的になってしまう人間というかね。
川嶋:お金儲けのために、大量に効率的に作ってきたことを、人類規模で反省させられているのかもしれません。
やっぱりこの4つの食材は、人間にとって依存的になってしまっています。
砂糖などは典型ですけど、食べると血糖値が上がってドーパミンが出て、嫌なことを忘れる反面、歯止めが効かずにいっぱい食べて罪悪感に襲われたりすることもあります。
そういう、食の本質から外れたあり方と、自分自身がどう向き合うかが大事ですね。
ちこ:結果的に、小麦、植物油、乳製品、甘いものを控えるとなると自炊型になりますよね。
食材から買ってきてつくって、、となると、しぜんと昔の日本人食に戻っていくことになります。
それももっともっとお伝えできたらなと思って、わたしも「ゆにわ塾」というオンラインサロンで「おうち食養生」というコーナーでも発信していますが、

そうやって立ち返るきっかけにならないと、この新しい考え方が人を苦しめることになってしまったり、「あれはダメ」「これはいい」という二元論の争いになったりするのは本来望まれていることではないのかなと思うので、改めてこの話もそうですし、レスポンスもそうですし、いろいろ経験則があるので(笑)
去年一年くらいずっと、一部のスタッフは四徳の生活をしていたり。
幼い頃からアトピーで皮膚疾患がひどくて、それをステロイドで塗りつづけた結果、根本治療になっていなくて再発して苦しんでいた子がいました。
そういう子たちに四徳の食事を作ったら、劇的に変化したという事実があります。
今では社員食堂のまかないも、基本「四徳」にしています。
川嶋:本当にすごいですよね(笑)
この4つの食材をつかわずに、唐揚げもお好み焼きも、ハヤシライスやカレー、チキン南蛮までつくっていますよね。

しかも、(四徳だと)分かんないんですよ食べても。
でも「たしかに食後感が軽いな」とか「食器に油汚れがつかないな」と思いますね。
ちこ:レストランでたくさん料理を作らせてもらってきた強みかな、と思います。
「この食材がなかったらどうしようかな」と、そのチャレンジを生かして、その中で生み出せたものは、ゆくゆくは本などの形にできたらいいなと思っているんですが・・。
実生活でどうできるかという発信は、もっとしていきたいなと思いますね。
川嶋:結局自炊してシンプルな食材を食べるとなると、日本人が使ってきた麹、醤油、味噌などの調味料に戻りますよね。
わたしたちも20年ほど前から食に携わり、白砂糖や食品添加物を取らないようにしていて、選び抜いた調味料を「ゆにわマート」で販売しています。

大量生産された、発酵されていない味噌・醤油のような「もどき食品」ではなく、本当の調味料はほんとうに美味しいし、ごはんと味噌汁だけで十分だと思えます。
ちこ:そうですね。
そういうものを食べたときに、「こういう状態が心地いいんだ」という気づきや、忘れていた感覚が戻ってくると思います。
無添加の「べじらーめんゆにわ」でも、四徳の選択肢を用意しています。

川嶋:「四徳醤油らーめん」、本当に美味しいですよね。
ちこ:ラーメンといえば添加物が入っているのが当たり前というセオリーがありますが、その中でもあえて、添加物を使わない挑戦をしています。
もうね、おもしろくなってきて(笑)
川嶋:どこまでいけるか、挑戦ですね。
ちこ:本当にそれが誰かが考えるきっかけになったり、次の一手につながったらいいなと思っています。
川嶋:食事に主義・主張が入り込むと敵対が生まれてしまいますが、それをいろいろな工夫で一緒に美味しく囲めるようにしてきたのが日本人だと思うんですよ。
だからいろんな異国の料理も、日本人食に変わっていって。
本当に日本人食は幅広いレパートリーがあって、独自のものとして進化していったところでいうと、四徳の挑戦も、避けている人もそうでない人も、共に「美味しいね」と言えるような、新たな挑戦なのかなと感じるところですね。
ちこ:いちばんの挑戦は、「御食事ゆにわ」のコース料理ですね。
ここでも四徳の料理をご用意しています。
1品ずつすべてが四徳料理になっていて、召し上がっていただくと一番体感があります。

でも、分からないと思います。
これが乳製品使ってないんだとか、砂糖使ってないんだとか。
ほとんど感じないくらい、素材のいのちがあふれて、それがまとまっているような。
川嶋:何かを抜いて妥協したものではなく、圧倒的に美味しくなっているという・・。
あれはもう召し上がっていただきたい。
ちこ:なのでわたしたちの伝え方としては、自分が実際に食べているもの、食べ続けているもの、お店で出させていただくもの、目の前のひとと一緒に食生活を見守らせていただく中で表現していることをお話させていただいています。
川嶋:全員が全員に当てはまるものというよりも、個別で対応しないと対応しきれないものになっていますね。
今後も、四徳料理の研究が続いていきますので、また定期的にお届けできたらと思います。
本日はありがとうございました。
ちこ:ありがとうございました。
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記事の中で取り上げている店舗のHPはこちらから
御食事ゆにわ
https://uni-wa.com/
べじらーめんゆにわ
https://vegewa.com/
【全国配送】パン工房「ゆきてかへらぬ」
https://yukitekaheranu.com/