前篇は「現代日本人が抱える食の問題」
後篇は「食とどう向き合えばいいのか」
というテーマです。
はじめに:話題の「四毒抜き食」とは?
川嶋:日本をかっこよく! むすび大学の川嶋です。
いま、日本人の食事が非常に危ぶまれています。
ちゃんとしたものが食べられていないのではないかということで、食の安全性が問題視されることが多いのですが、その中で今よく話題になっている「四毒抜き食」というものがあります。
むすび大学をご覧になっている方でも「実際どうなのかな」と気になっている方や、実践されている方も増えてきています。
そこで今日は、御食事ゆにわの料理人・ちこさんと、この「四毒抜き食」をどう捉え、どのように実践しているのかということをお話ししたいと思います。

ちこさんとは、わたしも20年くらい一緒にやってきた仲間です。
よろしくお願いします。
ちこ:よろしくお願いします。

川嶋:これは「聞きたいかった!」という方が非常に多いテーマだと思うんですけど、少し前に、ちこさんのInstagramでも話題になりましたよね。
「四毒(よんどく)」から「四徳(よんとく)」へ、というお話です。
一般的に「四毒抜き食」とは、小麦、植物油、乳製品、そして甘いものを抜いた食事のことを指しますが、「毒」という言葉は少し怖く聞こえますよね。
ちこ:そうですね。身近な食材が「毒」だと言われるとインパクトがあります。
それがインパクトになって、きっかけで実践し始めた人もいれば、戸惑う人もいます。
実際にそれらの食材を扱うお仕事をされている方や、主食として食べていた方からすると、少しビックリされたかもしれません。
川嶋:香川県民の方などはびっくりしたでしょうね(笑)
うどんがありますし。
ちこ:わたしたちの生活の中で、小麦、植物油、乳製品、甘いものは、多くの加工品に入っていますから、これを聞いた時は最初「(四毒とは)言えないな」と思いました。
わたしは飲食に携わる中で生きていますから、もちろん、その考え方自体は調べましたし、実際にやっています。
そして、いろいろな方とお話しさせていただきました。
その中で、自然と「徳(とく)」という言葉が出てきたんです。
川嶋:「四毒(よんどく)」ではなく「四徳(よんとく)」ですね。
ちこ:はい、言葉からもちょっと(毒と)出せなかったところはあったので。
その考え方がいいと思って実践されている方がいらっしゃる一方で、それを食べていらっしゃる方も多くいらっしゃる中で、自然と「徳」と言っていました。
「徳」は、「はたらき」という意味もあるので、食材一つひとつには本来「はたらき(=徳)」があると思っています。
その働きをどう生かすか、あるいは間違った生かし方や行き過ぎた生かし方をしていないか。
そのあたりが大事なポイントだと考えています。
なぜ「四毒」は日本人の体に合わないのか?
川嶋:その「徳」に込められた意味については後ほどお話ししたいと思いますが、そもそも「四毒」に馴染みのない方のために少し解説します。
これは歯科医師の吉野敏明(よしのとしあき)先生が提唱されたことで、「もともと日本人が食べていた食事に戻ろう」という考えが軸にあります。

明治以降、とりわけ戦後の学校給食から食生活がガラッと変わり、輸入された加工食品が増えました。
手軽で保存性が良く、もちっとふわっとサクッとした食べ物のほとんどに、小麦、植物油、乳製品、甘いものがたくさん使われています。
本来、日本人には合わない食材だったのに、さまざまな政治的都合やグローバリズム経済の中で、日本人の体が毒されていくように策略を持って輸入されてきた食べ物なのだと。
それぞれの食材がどのように体を毒していくのか、本にも細かく書かれており、読むと食べるのが怖くなります。
ちこ:本当にそうですね。
知ってしまうと、「ちょっとこれは、食べるべきではないのかな」と立ち返るきっかけになります。
そういう意味では、「四毒」という言葉はインパクトが強いですが、実際に提唱されている内容は、日本人の食事がどうなってしまっているのかを考えるきっかけを作ってくれています。
川嶋:そうですね。学校給食も、明らかにパンと牛乳が主流になったのは、おかしな話ですよね。

個人的な体験としては、牛乳を飲んだら背が伸びると言われてきましたが、「飲んだらお腹壊すねんけど、これなんなんやろな」と思ってました。
これが乳糖(にゅうとう)不耐症といって、日本人の多くが乳製品を消化する能力が低いからなんですね。
欧米人の食事をそのまま持ち込んで体を大きくしようとしても、歴史が違います。
縄文時代から何万年もかけて腸内細菌が作られてきたのに、ここ数十年でめちゃくちゃ食生活が変わってしまいました。
ちこ:戦後は特にそうですよね。
川嶋:コンビニやスーパーの加工品もそうです。
たとえば植物油も、オリーブオイルとか、ごま油とか、「え! 体に良かったんじゃないの?」と思っても、ヘキサンなどの化学薬品を使って抽出されて、手間を省いて作られた結果、本来の油とは別物になってしまっています。

わたしたちの口に入るほとんどが、人工的な油になってしまったことも、大きく影響しています。
ちこ:もともと「ゆにわ」では、どういう食が大事かとお伝えしてきたかというと、この活動も今年で20年目になりますけれども、「温かいごはんとお味噌汁、発酵食品が大事だ」とお伝えしてきました。
わたしの著書『いのちのごはん』にも書いた通り、日本人が昔から食べてきたものが腸に合っているのです。
添加物や加工食品が出てきて、日本の法律も甘い中で、本当に心から休まり、体が良くなる、安全で美味しいものを出そうとお店をスタートしました。
わたし自身、それで救われた一人です。川嶋さんもそうですよね。
食べ物には〝ひかり〟が宿っています。
命が生まれているその光をいただくのが食事だという食べ方を主に伝えてきました。

この「四毒」の話になると、実践している方から「実際どうなの?」とよく聞かれるようになりました。
講演会などで必ず聞かれるようになって、去年と今年で関心の高さがガラッと変わっているんですね。
今年の2月に熊本で食の映画の上映会と講演会を行った際、質問があったんですよ。
「四毒はどう思いますか?」と。
そのとき会場に200人近くいらっしゃったんですが、「四毒抜きの考え方を知っている方」と聞いたら、9割以上の方が手を挙げました。
でも、「実際にやっている方は何人いらっしゃいますか?」と聞いたら、たった3人でした。
川嶋:へぇ~! 知ってはいるし、気になってはいるけれど、実践は難しいということですね。
ちこ:はい。食の映画を見に来ている時点で、関心が高い方が多いですが、それでも9割の方がご存じでした。
去年だと、一つの会場で半数いくかな、という感じでした。
実践されているという50代の女性に話を聞くと、「旦那さんのいびきがなくなり、痩せた。これだけでも助かった」とおっしゃっていました。
四毒抜きで良くなったし、ありがたいと思っているけど、一方で外食に行けない、人との付き合いができないという悩みもあり、「体がリセットされたので、これからは『ゆる四徳抜き』で行こうと思う」と話されていました。
一時的に体をリセットしたり、デトックスしたりする目的で一定期間行うという使い方ですね。
川嶋:賛否両論ありますが、現代人に多いアレルギーやアトピー、倦怠感、だるさ、精神疾患(不安症など)の多くは、小麦や砂糖などの摂りすぎなどで腸が荒れ、免疫機能が狂ってしまうことが原因と言われています。
親や祖父母の世代から始まった西洋化された食事の「負の遺産」が今の世代に来ている。
だから、子どもたちにアレルギーが多いんですよね。
そういう状況の子たちにとって、四毒抜きを実践することで体が回復していくというのは実際にありますよね。
ちこ:いろんな事例を見ていますね。わたしたちは『大学受験塾ミスターステップアップ』という学習塾もやっていて、10代の塾生と1年間生活を共にします。

川嶋:食生活も、まるでその子のお父さん・お母さんになったかのように、その子が何を食べていくのかをずっと見続けるんですね。
ちこ:その献立をわたしが立てていますが、やっぱり食生活の変化を間近で感じます。
わたしたちの時代は食卓に和食が並ぶこともありましたが、今の世代はジャンクフードやコンビニ食が当たり前です。
家族のあり方が変わって、家族で食卓を囲むことも少なくなったり、お菓子だけ食べていたり、Uber Eatsなどの配達の加工品ばかり食べている子もいます。
メンタルにも影響していますし、アレルギーの症状を持つお子さんの来店も多いです。
やっぱり皆さん身体を良くしたいと思われているので、症状がひどい場合は、併設している『ポラリス診療所』で治療を受けつつ、「四徳抜き」をお勧めしています。

自分の親世代、そのまた前の親世代が食べたものをひっくるめて、自分は受け継いでいるので、そういう意味でも食生活を見直していただく時期を取ると、劇的に良くなります。
(後篇へつづく)