驚きの日本文化!藍染(あいぞめ)のすごい秘密| あいわゆう×万福たけし【後篇】

人気YouTubeチャンネル「むすび大学」より、藍染めあいわゆうさんと、
整体師の万福たけしによる対談をお届けいたします。

前篇は「最先端のファッションデザインから、藍染めの世界へ」

後篇は「藍染めの衣服が心地よい秘密~ものづくりの本質」

というテーマです。

ここから後篇をお届けします。

前篇をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。

あいわゆうプロフィール:岐阜県・池田山山麓に工房を構え、日本古来の醗酵による藍染「本建て正藍染」の衣服を製作。真の醗酵の藍染が持つ「癒しの効能」を生かし、暮らしに寄り添う、強くて美しい藍の衣をお届けしている。





藍染めと化学染料のちがい



万福:野原さんが、藍染めをしようって決めたときの決め手って何だったのですか?

野原:藍染めをする決め手ですか。それは、やはり師匠ですね。
師匠の言葉と出会った時に、お話を聞いて胸が熱くなったことが理由という感じです。

藍染めにもいろいろあって。
僕らは天然の染料のスクモというものを使って藍染めをしているんですけれども、 同じ染料を使っても、作り方とか、手入れの仕方とか、もっと言えば向き合い方ですよね。

それらは、やっぱり染め師さんによって異なるものです。

僕は「本建て正藍染」に対しての師匠の向き合い方が、すごく生き物を大切にしている本質的な向き合い方だなと思ったんですね。

例えば、この液はアルカリ性が強くて、というふうに、藍染めの説明を普通にするなら、 PHはどのくらいです、ということは言えるんです。

でも、科学的にこの染め液を見て理解して、PHこれぐらいだから、こうすれば微生物が生活できるよねとか、もっと科学的なものを使えば、これで代用できるよねとか。

そうして生まれたのが、今のデニムとかに使われている「化学建て」というものになるんです。

それは化学的に見れば同じものなのかもしれない。でも、人間もそうだと思いますが、人間の体を切り刻んでも、その本質って見えてこないじゃないですか。

やっぱりそこに命があって、魂が宿っているからこそ、肉体に意味があるわけで。
この藍染もそうやって分解して分かろうとするのではなくて、馴染むということ。日本の文化って馴染む文化だなと思っています。

古神道で「大自然に寄り添い、水に馴染む」っていう言葉があって、すごくしっくりくる言葉なんですけど、微生物と触れ合っていく中で、頭で分かろうとするのではなく、一体となるような、馴染んでいくような感覚で接すると、なんとなく分かっているような、分からないような。

でも、なんか染めることできたよね、みたいな。

そのくらいが本当に本質的な向き合い方なのかなっていうのを、先生のお話を聞いて思うようになりました。

万福:今、僕が着ている服は、以前からあいわゆうさんにお願いしていて、今回の対談の時に着るために持ってきていただいたものなんです。



めちゃくちゃ気持ちよくて、それこそ着るものってここまで影響するのかって、改めて感じましたね。

それこそデニムとして青く染まっている、 もちろん普通のジーンズとかと明らかに違うのは、すごく体になじむんですよ。

だから、最近だと急に私たちの住んでいる楠葉も湿度が上がり急に暑くなってきたんで、すぐ服がベトベトして気持ち悪いんですよね。

天然繊維でも気持ち悪いんですが。
あいわゆうさんの作られた服を着ると、「汗ですら心地いい」みたいな感じです。

今、あいわゆうさんがされている服作りっていうのは、ファストファッションと真逆というか、本来、人の着る服っていうのは、そこに良い思い、もっと言うと「祈り」とか、微生物の息遣いとか、そういったものが込められたものです。

そういったものを着用するっていうのは、おそらく200年くらい前までは全世界的に普通だったんだと思うんですよ。

服って数百年前までは、誰でも何着も持てるものではないじゃないですか。

でもやっぱり大切な人には、こういうものを着てほしい、みたいな思いを込めて刺繍をしたりとか、手仕事で編んだり折ったり縫ったりしたもの。

場合によっては代々引き継いだりとか、そうやってどの国の人も衣類ってそういったものを着用してたと思うんです。

今までそういったものを着用してきたと思うんですが、現代人は、一番そういった意味での本当の衣類 から遠ざかっているように思います。





だから、あいわゆうさんが作られている服は、衣類っていう目線で見たときに、遠くから見たら他の服とは違わないものかもしれません。
普通に人間の形に合わせて作られているものですから。

でも、その中身というか、本質が全然違う。
そういう服が世の中にもっと広まっていかないといけないなってすごく思いましたね。

今という人の心が蝕まれていっている時代に、良い思いで作られたものを着るか着ないかで、人生変わってしまうなと、袖を通させていただいて、改めて思いました。


ものづくりの本質



野原:そうですね。本当に作り手の思いはすごく大事だと思います。
それは衣服作りだけじゃなくて、ご飯でもそうだと思うんです。

僕も、昔の衣類とかを見て思うのは、各国の民族が手刺繍で作ったり、藍染めをしたりとか、その地方の染めで作ったものとかって、本当に祈りが込められてるなってことです。

それは大自然に対しての畏敬の念もあるだろうし、感謝の気持ちを表したりとか、子どもたちの安寧を願ってお母さんが着物の後ろに背守りを縫うとか、そういう文化って当たり前だったと思うんです。

だからセントマーチンにいたころ、それを見た時に、僕はデザイナーとして、そういった服には勝てないなって、思ったんです。

僕は、3年前に初めて『御食事ゆにわ』さんに行かせていただいたのですが、プロの方たちが作られていても、お母さんが子供に作るような愛を込めて作られてるっていうところに感動しました。こういうことができるんだなって。


▲『御食事ゆにわ』の季節のランチ

それは本当に極論、技術がどうかってところを超えた次元ですね。

祈りを込めて作れば、作られたものが、食べた人や着た人に対して、いい影響を与えるっていうのは、実は当たり前のことなんだろうなと感じました。

私もそういう服を作っていきたいってすごく思っていますし、藍染め自体も本当に祈りなくしてできるものじゃないっていうのを、日々感じています。

去年の年末も、藍の発酵が全然進まなかった時があったんです。
何をしても全然染まらない。
染まらないというか、色が出てこないんですよね。

万福:何をしても染まらない、そういう状況があるんですね。

野原:あるんです。基本的にこういう風に藍建てをしていこうっていうイメージはあるんですけど、本当に手を尽くしても、なかなか色が出なかったりして。

その時に僕らは phを 測ったりとか、化学的に理解しようとせず、感じようとするのですが、どうしても感じれない。

そういう不安な時って、頭が働くんですよね。
だから頭で理解しようとするんです。

だけどそこで思ったのが、もうコレわかんないわ、と。
「わからない」ってことをわかることが、すごく大事だと。

無知の知に気づくということですよね。

だから僕は、人間のことを切り刻んでも、人間の本質はわからないし、 それは藍染めも一緒だと気づいて、じゃあ、わからないからこそ、一つ一つの工程に本当に祈りを込めて、丁寧にやるしか僕らはできないし。

それを尽くした時に発酵してくれるのかくれないのか、それは藍の神様にお任せするしかないなと思いました。

今は、藍建てをしたらすごく良く発酵してくれて、染めれるようになり、僕らもそれが身に染みてきたというか、馴染んできたというか。

「祈らなきゃ、祈らなきゃ」というところから、「祈りが当たり前」というところに、3年間くらいかかって、少しずつ変わってこれたなと思っています。


染め物は全部妻が染めているんです。


僕は、藍建てといって、藍の染料を作るところを専門的にやっています。


 

あとは手入れです。
藍建てをするときも、藍建てに使うのはスクモと呼ばれる藍草。
藍の植物の葉を発酵させたもの。

それと灰汁(あく)。木灰(もくばい)に水を入れて上澄み液ができるんですけど、触るとヌメヌメするんです。

ヌメリのある木のミネラルがたくさん入った液ができるんですね。
この2つを混ぜ合わせるってシンプルなことなんですけど。

このスクモにアクを足して棒でついて、そしてその大きなカメの中に入って。

万福:入るんですか?

野原:入ります。

万福:どれくらいの大きさなんですか?

野原:このテーブルくらいの大きさで、高さこのくらいで200リットルとか300リットルのペールなんですけど。
その中に私が入って、腰を入れながらずっと何時間も踏むんですよ。

時間も全然決まってなくて、でも足りないなっていうのはなんとかわかるんです。
自分の感覚とかで。本当に中に入って踏んでると、結構トランス状態になる時が多くて。
いろんなメッセージを入れながら集中してずっとやってます。

終わったなと思う時は、ペースト状みたいになってるんです。
本当に終わったなっていうのがわかるんですよね。

ただやっぱりその前日とか、先ほどおっしゃられたように子供を産むみたいな、 本当にそれと同じことだなと思ってるし、そこに光を下ろすというか、そういう感覚があるので、すごく緊張しますけど、始めたら本当にそこに自分の心を尽くしていきます。

自分の命が映るような、そんな感覚で行うんです。
それで発酵してくるかも決まります。

でもそれ以上に、どれだけ生き永らえるか、みたいなところも決まってくる部分があります。
寿命もそうなんです。
一般的にこの藍染めって1ヶ月とか3ヶ月ぐらいで寿命がなくなっちゃうって言われるんですけど。

本建て正藍染めの場合は、3、4年は手入れの仕方とか、藍建ての仕方で生かすことができるんですよね。
そうすると若くて建てたばかりの甕の青色と、老年の甕が出す色の澄んだ美しさみたいなものとが、全然違ってくる。

だから濃い色だからいいっていうのではなくて、むしろ薄い色で、綺麗に染めることもすごく難しい。
やっぱり生き物なんですよね。

若い甕の良さもあれば、年を取った甕の良さもある、みたいなところが、最初に藍建てをするときに、どれだけ心を込めたかっていうところで変わってくることなので、毎回気は抜けないですし、初心に戻ってやるっていうことを、すごく大事にしています。

僕らの工房に神棚があるんですけど、朝はその前でしっかりと自分の軸を整えてから、染めたり藍を建てたりするってことを大切な作法としてやってますね。


万福:貴重なお話をありがとうございました。

※この対談の続き(藍染の実演)は、動画で見ることができます。


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