このシリーズでは、神様に応援される会社経営について、
相原康人がさまざまな業種の経営者や従事者の方にインタビューさせていただきます。
今回は、松下幸之助に学ぶ「魂の宿る経営」をお伝えします。

インタビュアー 相原康人
北極流占い師。北極老人から口伝で占いの秘伝を学び、一人ひとりの開運の秘訣を伝授する。

池田俊介
旧松下電器本社がある大阪府門真市近くで育つ。松下幸之助の経営哲学を研究している。
人が喜びに満ちて働く原動力とは
相原 前回は、松下幸之助さんの孤独な幼少期の経験から、高い志が育まれたというお話でした。今回は、松下電器の経営理念について、お聞かせくださいますか。
池田 最初は、社会のために貢献するといった崇高な理念を持っていたわけではありませんでした。
丁稚奉公時代は、いわゆる商道徳に基づいて堅実にやっていましたが、経営理念というものを深く考えるきっかけになったのは、天理教の見学でした。
知人の中に熱心な天理教の信者がおられ、その方が、経営に天理教の考え方を導入すると会社の発展に役立つだろうと、松下さんを見学に誘ったんです。
彼は当時、宗教には興味がなかったのでお断りしました。ですが、あまりに熱心に言われるので仕方なく見に行ったら、びっくりすることになるんです。
まず、壮大な敷地にチリ一つ落ちてない清掃ぶり。本殿の立派さにも驚きましたが、一番心に響いたのは、信者の方々が無報酬にもかかわらず、全国から集まって本殿の建設作業に汗水たらして働いている姿です。
その人たちは皆とても嬉しそうで喜びに満ちている。その様子を見て、ここまで人を熱心にさせるものとは何なのか…? と考えたんです。
相原 人が給料のためではなく、働く原動力があると気づかれたんですね。
池田 そうです。見返りや報酬のためではない原動力。それは何かと考えて、そうか、使命感なんだ、と思い至りました。
確かに宗教は人の心に平安をもたらす聖なる事業です。
しかし、モノづくりの事業も、人のためになっているのでは、と気づきました。
当時、物資が不足している中で、松下電器は誰の手にも届くような価格で商品を提供していました。必要な物資を広く安価で供給することも、宗教に負けないぐらい聖なる事業だと気づいたんです。
だけど松下さんは社員に対して、自分たちの仕事が世の中にとってどれほど価値が高いか伝えてきませんでした。なぜなら自分でもそこまで思ってなかったからです。
相原 でも、世のため、人のためになっていると気がついて変わったんですね。
池田 はい。そこが松下さんの素直なところですね。
素直な目で見て、素直に自分がやってきた経営の姿を反省し、自分たちにも大事な使命があると気づいた。
この使命で事業を進めていこうと決心するんです。
相原 そこから、会社の理念を打ち立てることになった。
一人ひとりが使命に目覚め、
松下電器の事業に魂が宿った
池田 そうです。何のために会社があるのかという使命に気づいて、松下電器の仕事はこんな素晴らしいんだと、従業員全員に伝えたくて伝えたくてしょうがなくなったんです。
それでわずか二ヶ月後に、第一回創業記念式典というのを開催するんです。
168名の社員を大阪に集めまして、そこで「我々の使命は、物資を水道水のごとく安価無尽蔵に供給し、この世に楽土を建設することだ」と訴えかけるんです。
それに対して代表者が答えていくんですけど、代表者にとどまらず、感動した社員たちが次々と壇上に駆け上がってきて「私も創業者と一緒に頑張ります!」と熱く決意表明するんです。
これは予想外の展開でした。会場内はもう興奮のルツボですよ。
松下電器が、食べるために働く会社から、使命に目覚め、魂が入った会社に生まれ変わった瞬間です。
そしてこの日1932年5月5日は、松下電器が真の創業に入った日として、創業記念日と制定されたのです。
相原 会社の規模が大きくなると使命を共有するのが難しくなりますが、松下電器は熱く団結されたのですね。
次回も引き続き、松下幸之助さんの人生を振り返りながら、「神様に愛される生き方」について語っていきます。
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フルバージョンは「ゆにわ塾」でご視聴いただけます。
神様に愛される会社経営を学べる
「かむながら経営道」

神様と繋がった会社経営とはいかなるものかを、
様々な業種の信仰心をお持ちの経営者の方にインタビューさせていただき、
神様に応援される会社とは何かを探究する、ゆにわ塾の人気コーナー。