こんにちは!講師の弓場汐莉です。
今回は、講師の武田康(たけだやすし)先生による、共通テスト化学勉強会の様子をお届けします。

愛称「やっし」こと武田先生の解説は、問題を素早く解くテクニックを教えるだけではありません。
受験生時代、偏差値90以上を取った経験を持つやっし。
計算回避の方法や、リード文を読むスピードが段違いであることはもちろんですが、
問題に関連して、入試の枠を超えた深い解説もしてくださるのです。
その話題は、共通テスト化学の問題から、歴史や社会問題、環境問題にまで発展するほど。
それがほんとうに面白く、入試問題の解説を聞いていることを忘れてしまうほどでした(笑)。
今回ご紹介するのは、2023年度共通テスト化学の本試験問題を解説してくださったときのエピソードです。
1つの選択肢から広がる世界
やっしが以下の問題を解説してくださっていたときのことです。

(▲共通テスト化学2023本試第3問)
この問題を見るやいなや、やっしは次のように話しはじめました。
「④の選択肢を見てください。
フッ素が圧倒的に酸化力が大きいですから、ヨウ素がフッ素の単体をつくるということはないですね(笑)。
正解は④です。
もしフッ素の単体ができてしまったら、実験室でへたをすれば死人が出てしまいます。
フッ素単体の生成に初めて成功した研究者(アンリ・モアッサン)は、左目を失いました。
ところで、ヨウ素についてですが、日本はじつは、ヨウ素の主要な輸出国なんですね。
特に千葉県で多く生産されています。 なぜだか分かりますか?
千葉県はもともと、海だったんです。
海にあるものは、海藻。 海藻に多く含まれるのは、ヨウ素。
かつての海藻に含まれていたヨウ素が土地に残っているため、多く生産することができるのですね」
「知識」がつながる面白さ
やっしの解説はさらに続きます。
「日本は海藻中心の食生活が成り立っているため、ヨウ素摂取過多になってしまう方もいらっしゃいますが、
アメリカでは海藻をあまり食べないので、逆にヨウ素不足のひとが多いのです。
だから、ヨウ素不足を解消するために、食塩にヨウ素を加えた『ヨウ素添加食塩』を調味料として使っていることが多いのですよ。
また、アメリカの軍隊では戦時中、ヨウ素剤が配布されていました。
放射能による被害を受ける可能性がある際に、あらかじめヨウ素剤を摂取しておくと、
放射性ヨウ素を体内に取り込むのを抑制してくれるんですね。
……かなり話が脱線しましたね。
まあ、この問題はヨウ素よりもフッ素の単体のほうが酸化力が強いということがわかっていれば解ける問題ですから、
ここまで知っている必要はもちろんないですが(笑)」

▲勉強会中にやっしと塾生に振る舞われたレモンティー
興味こそが成績アップの突破口
たったひとつの選択肢から、ここまで話題を広げて話してくださいました。
たしかに、入試の得点に直結するような話ではないかもしれません。
しかし、問われているテーマについて少しでも興味がわいたり、知識を立体的にとらえられるようになったりすることで、
それが突破口となり、得意分野が増えていくことはよくあります。
実際に、参加している塾生からも、
「自分で解いたときは、問題じたいには正解したけど、自分ひとりで勉強していたら絶対に触れられない知識をたくさん話してくれるから、すごくおもしろい!」
「自分も、こういう風にいろんな知識を総動員して問題を解いてみたいです。そしたら勉強がもっとおもしろくなりそう!」
という声があがっていました。
通塾やスクーリングでミスターステップアップに来たときは
ぜひ、やっしの勉強会に出席したり、質問してみたりしてくださいね!