こんにちは、ポラリス診療所ナビゲーターの新谷正樹です。
最近、健康や美容、アンチエイジングに関心のある方のあいだで、「四毒(よんどく)抜き」という言葉が大きな注目を集めているのを、ご存じでしょうか。
これは、現代の食生活で、とくに身体への負担が大きいといわれる以下の4つの食品を避ける食事法のことです。
- ・小麦粉(グルテン)
- ・植物性の油(不飽和脂肪酸・オメガ6)
- ・乳製品(カゼイン)
- ・甘いもの(砂糖・果糖ブドウ糖液糖など)
このリストをみて、ドキッとした方も多いかもしれません。
「えっ、朝はパンにバターを塗って、サラダにドレッシングをかけて、食後のヨーグルトが日課なんだけど……」
「疲れたときのご褒美スイーツが生きがいなのに!」
そうですよね。
そのお気持ち、痛いほどよくわかります。
これらはいまや日本の食卓の「あたりまえ」になっていますし、なにより、おいしいですから。
「明日からすべてやめてください」といわれたら、楽しみを奪われたような気持ちになりますよね。
ですが、近年の予防医学や栄養学の世界では、これらの食品が現代人の抱える「慢性的な不調」の大きな要因になっているのではないか、と指摘されているのです。
今日は、なぜいまこれほどまでに「四毒」を避けたほうが良いといわれているのか。
一般的にいわれている医学的な背景やリスク、そして実践することで期待できるメリットについて、わかりやすく解説していきたいと思います。
第一章:なぜいま、「四毒」が問題視されているのか?
まず、背景にあるのは「現代人の身体の変化」と「食品の変化」です。
一般的に、食生活の乱れが生活習慣病などの病気として表面化するまでには、約20年〜25年かかるといわれています。
戦後、日本人の食生活が欧米化し、小麦や油を大量に摂取するようになってから数十年。
いままさに、その影響がアレルギーや自己免疫疾患、メンタルの不調として現れているのではないか?――そう多くの医師や専門家が警鐘を鳴らしています。
「四毒抜き」は、単なる一時的なブームではなく、現代特有の身体のSOSに対応するための、理にかなった方法として注目されているのです。
第二章:一般的に指摘されている「4つのリスク」
では、それぞれの食品について、具体的にどのようなリスクが指摘されているのでしょうか。
一般的な医学的見解や、最近の研究で話題になっているポイントを整理しました。
1. 小麦(腸内環境への影響)
近年、「グルテンフリー」という言葉が定着しましたが、その最大の理由は「腸への負担」です。
小麦に含まれるタンパク質「グルテン」は、消化されにくい性質を持っています。
これが体質によっては腸の粘膜を刺激し、腸壁のバリア機能を低下させる「リーキーガット(腸漏れ)」を引き起こす可能性があるといわれています。
腸のバリアが緩むと、本来ガードされるべき未消化物や有害物質が血中に漏れ出し、全身で炎症反応(アレルギーや慢性疲労など)が起こりやすくなると考えられています。
「パンをやめたら身体が軽くなった」という声が多いのは、この腸の炎症が治まるためなのですね。
2. 植物油(炎症と酸化のリスク)
少し前は「動物性脂肪より植物性油のほうがヘルシー」といわれていましたが、最近の栄養学では見解が大きく変わってきています。
とくにサラダ油などの精製植物油に多く含まれる「オメガ6脂肪酸(リノール酸)」は、摂りすぎると体内で「炎症を促進する物質」をつくることがわかっています。
また、加工された油は酸化しやすく、体内で「アルデヒド」などの有害物質を発生させるリスクも指摘されています。
一部の研究では、これらの物質が神経細胞を保護する膜(髄鞘)にダメージを与え、神経伝達に悪影響を及ぼすことで、情緒不安定になったり、注意散漫になったりなどの、神経系トラブルにかかわっているのではないか、とも言われています。
3. 乳製品(消化吸収の問題)
「牛乳はカルシウム源」としてよく飲まれてきましたが、じつは「日本人の体質に合わない」という研究が多くなっています。
日本人の成人の約7〜8割は、乳糖を分解する酵素を持たない体質といわれています。
消化できないものを日常的に摂取することは、腸内環境を悪化させる一因にもなります。
また、牛乳に含まれるタンパク質が分解される過程でできる物質(カソモルフィン)には、脳に作用し、「もっと欲しい」という依存的な欲求を引き起こす性質もあります。
「チーズやヨーグルトがやめられない」というのは、嗜好の問題だけでなく、こうした反応が関係している可能性があるのです。
4. 甘いもの(血糖値と糖化)
砂糖の摂りすぎによる弊害は、多くの研究で明らかになっています。
とくに精製された砂糖やジュースなどに含まれるシロップは、摂った直後に血糖値を急激に上昇させます。
その後、インスリンの働きで血糖値は急降下しますが、この急激な変化が自律神経を乱し、イライラや食後の強い眠気、集中力の低下を招くとされています。
さらに、余分な糖は体内でタンパク質と結びつき「AGEs(終末糖化産物)」をつくります。
これは「糖化=身体のコゲ」と呼ばれ、肌の老化や血管の動脈硬化を進める最大の要因のひとつとして、アンチエイジングの分野でも話題になっているのです。
第三章:四毒を抜くと期待できる「メリット」
これらを日常の食事から抜く、あるいは減らすことで、どのような変化が期待できるのでしょうか。
1. メンタルバランスの安定(脳腸相関)
最近の研究では、「腸脳相関(ちょうのうそうかん)」といって、腸と脳が密接にかかわっていることが知られるようになってきました。
小麦や乳製品を控えて腸内環境が整うと、セロトニン(幸せホルモン)などの神経伝達物質がスムーズにつくられるようになります。
その結果、不安感が減ったり、イライラしにくくなったりと、精神的な安定を感じるひとが非常に多いのです。
2. 慢性的な疲労感の解消
身体の中で起きていた「炎症」が鎮まることで、無駄なエネルギー消費が減ります。
「朝スッキリ起きられるようになった」「夕方のひどい疲れがなくなった」という変化は、内臓への負担が減ったことによるものです。
3. 味覚の変化と依存からの脱却
刺激の強い油や砂糖を控えると、味覚が正常に戻ってきます。
素材そのものの甘みや旨味を感じられるようになり、以前ほど濃い味付けや甘いお菓子を欲しなくなる――つまり、「依存状態から抜け出せる」というのも大きなメリットです。
第四章:無理なく続けるための「実践ポイント」
「健康のために試してみたい」という方へ、専門家たちが推奨する実践のコツをいくつかご紹介します。
1. まずは「主食」を変える
最初からすべてをゼロにするのが難しい場合、もっとも効果的なのは「パンをごはんに変える」ことです。
和食中心の食事にすることで、自然とバターや乳製品、植物油も減らすことができます。
「ごはん、味噌汁、焼き魚」といった日本古来のメニューは、四毒を避けるうえで理にかなった食事といえます。
2. 「代用品」に頼りすぎない
小麦を避けるために「米粉パン」や「グルテンフリー麺」を選ぶのもよいですが、市販品には風味を補うために、かえって糖分や添加物が多く使われている場合もあります。
「代わりのもの」を一生懸命探すよりも、シンプルに「素材そのものを食べる」(蒸した芋、おにぎり、果物など)ほうが、結果的に身体への負担は少なくなります。
3. 「よく噛む」ことを意識する
消化吸収を高め、胃腸の負担を減らす基本は「咀嚼(そしゃく)」です。
一口30回を目安によく噛むことで、唾液の消化酵素が働き、アレルギー物質の分解を助けてくれるといわれています。
お金もかからず、今日からできるもっとも確実な健康法です。
4. 調理法を工夫する(ゆでこぼし)
食材に含まれる脂や残留農薬などが気になる場合は、「煮る(茹でる)」調理法が推奨されています。
下茹でをして煮汁を捨てる(ゆでこぼし)ことで、水に溶け出す不要な成分を減らすことができます。
これは和食の伝統的な知恵でもあります。
おわりに:身体の声に耳を傾ける
長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございます。
当院では、全員とはいいませんが、四毒を摂らないようにお伝えすることもあります。
(すべてが毒とは思っていませんが、あえてこう表現させていただきますね)
四毒を完全にゼロにするのは難しく感じるかもしれませんが、2週間もすると身体が変わってきますので、やり始めると続けられます。
大切なのは、「なんとなく食べる」をやめて、「自分の身体がなにを求めているか」に意識を向けることでだと思っています。
「これを食べたとき、すごく眠くなるな」
「和食だと、翌朝の身体が軽いな」
そんなふうに、自分の身体の反応(サイン)を観察してみてください。
身体がクリアになってくると、自然と「いまの自分に必要なもの」がわかるようになります。
まずは2週間。
パンをおにぎりに変えるところから、始めてみませんか?
その小さな選択の積み重ねが、数年後、数十年後のあなたの笑顔と健康をつくっていくはずです。
あなたの健やかな毎日を、心から応援しています。
ポラリス診療所
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