『古事記』の天地開闢(てんちかいびゃく)から伊邪那美命(イザナミノミコト)の神生みまでを読み解き、深いところに隠されたメッセージを明かします。
.鎌田東二先生との古事記対談本です。最期の一年間で10時間以上、古事記について対談を重ねました。鎌田先生の遺作の一つとして、よろしくお願いします。.
日本人のルーツが眠る『古事記』。
『古事記』を読むということは、感性を養い、信仰心を育てることにつながります。
この世界を美しいと感じ、天や神を信じる心を養ってくれる。
ひとが人生で学ぶべきことが、『古事記』には示されているのです。
そんな『古事記』について語るのは、神道研究家の羽賀ヒカルと神道学者の鎌田東二。
若いころから『古事記』に親しみ、その解釈を探ってきた二人による、満を持しての対談が実現しました。
今回は、『古事記』の中でも冒頭の天地開闢(てんちかいびゃく)から伊邪那美命(イザナミノミコト)の神生みまでに隠されたメッセージを、それぞれの解釈で紐解いています。
『古事記』に親しみがある方も、はじめて読むという方も、どちらもお楽しみいただける内容となっております。
目次
まえがき「すべては天の采配」
第一章 神々の創造~原初神から伊邪那岐・伊邪那美まで
●古事記とは何か
古事記とはどのような書物なのか
あるものを、あるがままに見るということ
鏡を磨けば、真理に近づくことができる
古事記が語る宇宙の始まり
古事記をどのように読み解くか
あわせて考えたい「序文」
大和言葉と漢語、話し言葉と書き言葉
神の「生まれ」をどう捉えるか
古事記と日本書紀
古事記以前に存在した、日本最古の神名
古事記にまつわるひとつの疑問
古事記は地球と生命の生成を語る
古事記は天地開闢から始まる一大活劇
第二章 日本列島の造成 〜国造りと神産み
●男女性の結びが実態を生む
天地開闢と宇宙創成の原理
餅つきと創造原理の比喩
修理固成と人生・社会への比喩的適用
実体を生み出す神々の交合
言霊と「修理固成」の語義解釈
「みとのまぐわひ」と蛭子の象徴性
男性性と女性性の順序の重要性
真実をどのように表現するべきなのか
陰陽の順序と神話に込められた価値観
太古は女性が社会の中心だった
国産みの順序と四国の成り立ち
渦巻き状のエネルギーと二名島の形成
隠岐の三子島と「三」の原理
神産みへと続く流れ
第三章 さらに続く神産み 〜二神から産まれた具象神たち
●天地の諸物を司る神の登場
次々と産まれる、あまたなる神々
中国やインドと異なる、日本の感性のランダムさ
日本神話は「海の民」によって語られた物語
「よく分からない」を神性として受け入れた日本人
それは「空から船に乗ってやってきた神」なのか
神話の大きな転換点に現れる、須佐之男命
神産みの物語を締めるのが、なぜ豊宇気だったのか
古事記が人々に伝える「ムスヒ」
飛び散った迦具土の血から生まれた神々
あとがき「うけひ」
著者プロフィール
羽賀ヒカル

東洋思想・神道研究家。大阪府立大学卒。15歳のある日、師である「北極老人」に出会い、神道、占術、東洋思想の実践と探求をはじめる。現在はセミナーや各種メディアで、幸せに生きるための神道を伝えている。オンラインコミュニティ「ゆにわ塾」では講師を務める。YouTube「神社チャンネル」では「日本人の心に火を灯す」を合言葉に、神道から社会情勢まで幅広いジャンルで心が熱くなる情報を発信中。
鎌田東二

神道学者。國學院大學 文学部哲学科卒業。同大学院文学研究科神道学専攻博士課程単位取得満期退学。古事記などの神話に親しんで育つ。京大こころの未来研究センター教授、上智大グリーフケア研究所特任教授などを務める傍ら、「神道ソングライター」と称して200曲以上を作詞作曲し、各地でライブを行った。2025年5月30日逝去。享年74歳。
