前篇は「自然治癒力を高めるには?」
中篇は「身体の奥から元気が湧く健康法」
後篇は「心の土台をつくる〝ヨーガ〟の叡智」
となっています。
(前篇はこちらから
👉【薬からの卒業】自然治癒力を呼び覚ます健康法|森井啓二×川嶋政輝(前篇))

川嶋:その「変化を怖がらない」っていうのは、頭では聞いても、やはり人間、ホメオスタシスというか、元に戻りたくなる傾向があったりとか。
あとは、今いるこの自分の地点を抜け出してもっと上に行きたいって思ったとしても、なんか、そもそもそのやる気が起きない、みたいなひとも多くて。
結構、若い子でも無気力とか多いんですけど。
「何するにもやる気が出ないんです」みたいなひとがいたら、何ていうふうにアドバイスをされますか?
森井:わたしの場合で言うと、やる気が出ない要因の一つに、まず「食事」があるんですね。
やはり食事を正さないと。
いわゆる昔からの聖典とか聖者のひとが言うのは、「心は食事で作られている」。
食事の中の食材の、一番最も精妙な波動の部分が、食べたひとの心を作っていく、と言われているので。
食生活が乱れていくと、どんなに自分が頑張ってポジティブになろうとしても、芯からポジティブになりにくいんですよ。
川嶋:はい。
森井:なので、まず食事を正して欲しいっていうのはありますよね。
あとは、もう、ちょっとしたことでもいいから、小さなことにまずチャレンジしよう、と。
失敗しても、別に死ぬようなことではないと思うので、ちょっとしたことでもまずチャレンジする習慣をつける。ちょっとずつでいいので。
で、あとは、とにかく、さっき言ったように、できるだけ物事の「いい部分だけ」を見ていく。
ということによって、ちょっとずつ、知らないうちに心って丈夫になっていく、健康になっていくんですよ。
そうすると、肉体もそれに釣られて、どんどんどん。本当に身体とか、身体の機能とか欲望って正直で、心によってどんどんどん変わっていくんですね。
なので、わたしの場合は、だから虚弱体質を心から直していって、だんだんだんだん丈夫にしていったっていう感じですね。
<「頭」ではなく「ハート」で考える>
川嶋:今だって、すごい山の崖を登ってらっしゃっているとか、野生動物のいっぱいいる中を分け入って山に入っていかれたりとか、ちょっと想像を超えるような感じなんですが…(笑)

そんな森井先生でも、最初はそのできることから挑戦して、一つひとつこう広げていったのでしょうか?
森井:そうですね、一つひとつ広げていった、みたいな。
あと怖いこと、たとえば、わたしの場合だと、真冬の真夜中の吹雪の中でも山に入っていくんですね。
川嶋:ええ!
森井:これは、まあ、真似してはいけないですけど、そういう場合に、頭を使わないんですよ。
要するに、わたしの場合は、思考回路を「ハート」に全部持っていくんですね。
そうすると、頭を使うと「怖いな」とか「もし何かあったらどうしよう」とかっていう妄想が膨らんできちゃうんですけど、そういう思考を全部ハートに下ろしちゃうと、逆に「ワクワクする」感情の方が勝ってくるんですよ。
だから、ハートで考えるとワクワクしか出ないし、頭で考えると不安しか出ない。
だったら、全部ハートに落としちゃって考えると、もうワクワクしたまま行動ができるようになります。
川嶋:雪山を見てワクワクしちゃうと(笑)
森井:しちゃいますね。
川嶋:面白いですね。
森井:もちろん、ある程度の自分のちゃんと技量を把握して、それをあんまり度を超えたっていう行動は取らないですけども。
でも、そういった「ワクワク」っていうのが、やはりすごい重要で。
ワクワクしながら、何でもかんでもこう行動していく、丁寧に過ごしていくことによって、心も身体も自然にそれに馴染んでくると、やはり丈夫に、健康になってきますよね。
<痛みや苦しみは「味わい尽くす」>
川嶋:お話を伺ったところでは、森井先生も、お怪我をされたとか。
森井:そうですね。やんちゃなことばっかりしてるんで(笑)
でも、それでその怪我をしたとか、病気になったときの痛みとか辛さっていうのを、しっかり自分で味わって…とにかく、味わい尽くしてますね。
川嶋:実際いちばん最近怪我されたときはいつなんですか?
森井:大怪我したのは3年ぐらい前ですかね。
ちょっとコンプライアンス的に危ない話は言えないんですけども、いろいろやって、大怪我をして、それでもしっかりそれを楽しみましたかね。
川嶋:ちょっと想像がつかない話になってきましたね(笑)
森井:まあでも結局、ものすごい激しい痛みっていうのも、身体があるから味わえるもんで、身体がなかったら味わえないじゃないですか。
川嶋:そうですね。
森井:だから、やはりそれにもすごく意味があって、勉強があって、課題があって。
だから今、何か、たとえば仮に誰かがこう、すごい病気をしていたとしても、事故が起きたとしても、それには必ず、そのひとがワンステップ上がるための課題がいっぱいあると思うんですね。
だから、それを後悔したり、不安になったりしないで、しっかり見据えて、まずは味わうことが、何よりも重要だと思うんですね。
<情報の海で、本当に必要なものだけを選ぶ>
川嶋:なるほど。
でも、やはり頭で考えるだけだったら、次々にネガティブや心配ばっかりに飲まれていくことと関係すると思うんですけど、今のひとって、やはり日々スマホを眺め、たくさんの字が流れて、はっきり言って、人間の元々持ってる情報処理能力が追いつかないぐらいの情報の海に飲まれていると思うんですよね。
だからこそ、もう自分で自分がコントロールできないとか。
そうですね、もうドーパミンジャンキーみたいな、何かしらのその刺激物、嗜好品、スマホ中毒も含めですけど、そういったもので自分を見失いそうになっている、みたいな方も多いと思います。
そういう方が、ハートで感じるところに移行していったり、頭でぐちゃぐちゃ考えるのを抜け出すときに、まず初めにできることはありますか?
森井:まず、本当に必要な情報っていうのは、実践に、日常生活に役に立つ情報だけあれば、基本いいと思うんですね。
だから、自分に関係ない世界の情報を一生懸命かき集めても、自分のためにはあまりならない。
もちろんなるものもいっぱいあるんだけど、できるだけ本当に必要なものだけを入れる。
物と一緒で、何でもかんでも欲しいからって集めれば、結局、活用できないまま終わっちゃうんですけど。
だから、車なんかも1台あれば十分なところが、10台、100台必要ないじゃないですか。
知識も一緒なんですよ。
知識だけを手に入れても、それをしっかりと活用する方が重要なので、そんなにいっぱい知識を入れる必要はそうそうなくて。
それはもうAIに任せちゃっていいと思うんですね。
任せちゃえば、必要な、本当に必要なときにはAIから引き出してもらえばいいので。

それよりも、やることいっぱいあると思うんですよ。
とにかく、何でもかんでも実践に使う。
それから、インスピレーションをもらうための知識っていうのはいいと思うんですけど、ただ、それに飲み込まれやすくなっちゃうと困るので。
でも、情報集めるだけ集めると、だんだんだんだん流されちゃうんですよね。
だから、本当に必要なエッセンスだけをもらう、インスピレーションだけをもらって、あとは自分で自分なりに構築し直して、実践に必ず使っていくというのが一番重要かなと思います。
川嶋:確かに、車100台も持ってても「今日どれ乗ろうかな」なんてなりますもんね。
森井:そうなんですよね。結局、無駄な車が出ちゃうのと同じように、知識も一緒なんですよね。
いっぱい持ってても、変な雑学王みたいに持ってても、それはそれでいいんですけども、ただ実践につかないんだったら、それだけ貴重な短い人生、もったいないので。
<バランスを整える「霊主・心従・体属」>
川嶋:心を鍛えるところから、それに従って身体も変わっていくっていう風におっしゃいました。
これも、やはりヨガの考え方にそういうものがあるだと思うのですが、心が変わっていくときに、まず「自分の環境に言い訳しない」「ネガティブだったとしても必要なものだと捉える」と自分の中で持ったときに、単にそれを状況として我慢するっていうのとは、また違うと思うんですけど。
森井:我慢はする必要ないですよね。
だから、本当に今あるシチュエーションで何を学べるかっていうのを、しっかり見据えて行動に移す、ですよね。
そのときに、やはり必要なのは、その「霊主・心従・体属(れいしゅしんじゅうたいぞく)」。

「霊」が自分、本当の自分で主体にあって、「心」はそれに従って道具としてしっかり使う。
で、「体」はそれに付随した、さらに心の道具になるもの。
これがしっかりしていれば、どこをまず大切にしたらいいかっていうのが、はっきりするんですね。
だから、心をまずしっかりと鍛えて、で、身体も当然、肉体なのでメンテナンスって必要になるんですよ。
それをバランスよくしっかり取ることによって、やはり理想的な生活が送れるので。
だ、どれも必要なんですけど、過剰に肉体だけ鍛えちゃうとか、過剰に心だけに寄っちゃうとかっていうのは、決してバランスが取れるとは言えないんですね。
川嶋:なるほど、そこを整えていくということですね。
森井:そこをまず、しっかり順序立てて整えるっていうのは必要だと思いますね。
<食材と「対話」し、人生の目的を定める>
川嶋:日頃の中で、食事ですよね。食事は一つと。
あと、たとえば身体の使い方とかで、森井先生ご自身が気をつけていらっしゃったり、アドバイスされることってありますか?
(後篇につづく・・)