「北極老人随聞記(ほっきょくろうじんずいもんき)」。
北極老人の教えを
弟子のスタッフたちが実践し、
その中で気づいたことをお伝えしています。
こんにちは、
営繕(えいぜん)部の
西村潤治(にしむらじゅんじ)です。

周りからは「えびぞー」と
呼ばれています。
営繕部では、
『グレイトティーチャー株式会社』の施設の修繕、
新しい施設を作るときの工事作業の手伝い、
簡単な工事作業などをさせて頂いています。
ある時、
長尾社長(以下:社長)から、
工事の見積書を作ってほしい
と、依頼がありました。
わたしは、
他の営繕部のメンバーよりは、
そういう資料作りに慣れていたので、
メンバーに相談しながら
見積書を作らせて頂きました。
そうして、
見積書と、
その見積の根拠となる
原価計算の表などを作成し、
社長へ報告させて頂きました。
その時に、
わたしの作った資料がわかりにくい
ということが原因で、
最終的な金額を決めるのに、
何時間もかかってしまいました。

そのときの見積書は
社長にも助けていただきながら
なんとか、完成させることができたのですが、
その打ち合わせの中で、
社長より
同じ営繕部のYさんに対して
「今後は、
あなたが資料を作りなさい。
作り方が分からなければ、
経理など、作り方がわかるスタッフがいるから、
周りを頼ったらいい。」
と、指示を頂いたのでした。
それからしばらく経って、
工事などの作業を終え、
今度は、
わたしたちが工事をした物件のお客様に
請求書を作成する時期になりました。
ある時、社長が
工事中の現場の状況を
確認に来てくださりました。
そのタイミングで
社長より、
「そろそろ請求書を作っていきたいから、
原価などが分かる資料を持ってきて。」
と、指示がありました。
その時に、ある問題が発生しました。
まだ、社長にお見せできるだけの資料が
出来ていなかったのです。
すぐさま、
Yさんがオフィスまで走り、
作りかけだった資料を
社長に見ていただける形まで
仕上げることになりました。
そうして、
社長をお待たせする形になってしまったのですが、
現状、わかる範囲での資料を作り、
お見せしました。
その資料を見て、
社長が一言
「これ、作ったの誰?」
と、おっしゃいました。
そのとき、わたしは
ドキッとしました。
じつは、その資料は
わたしがベースを作り、
そこに、Yさんが
具体的な数字を打ち込んで
作ったものだったからです。

▲エアコンの清掃から会社のあらゆる修繕・工事をする「なんでも屋」のような部署が営繕部です。
Yさんは、
資料作りに慣れていなかったこともあり、
なかなか、作業を進めることが
できていませんでした。
そこで、
工事を進めていく過程で、
かかった費用を
その時々で入力していくために、
わたしが、先に
資料のベースとなるものを
作っていたのです。
わたしは、答えました。
「・・・わたしです。」
社長は、おっしゃいました。
「なんで?
わたしはあなたに
この資料を作るようにとは
指示していないよね?」
そうです。
社長は、わざわざYさんに
資料作りを依頼されていました。
ですが、わたしは
良かれと思って、
代わりに作ってしまったのです。
そこから、社長は
なぜ、Yさんに
資料の作成を依頼したのか?
なぜ、わたしに
そういう資料を作らないように
指示をしたのか?
ということを
わかりやすく説明してくださいました。
わたしは、
そういう資料を作ると、
その作業に没頭してしまう。
すると、完成した資料が
自己満足的になり、
相手の知りたい情報は、分かりにくい。
だから、
自分一人で完結して
自己満足するような仕事ができないように、
もっと広い視野を持てるようにするために、
誰かと一緒に取り組まないと
進められないような業務を任せることで
これまでのわたしの仕事が
いかに、自己満足的であったか、
気づくようにしてくださっていたそうです。
また、社長がYさんに
資料作りを指示した背景には、
Yさんが、苦手な資料作りに
周りに聞きながら取り組むことで、
学んでほしいことがあったから、
あえて頼んでくださっていたのです。
わたしは、
そういう社長の配慮に全く気づかずに、
安易に
「良かれ」と思って、
代わりに、資料を作ってしまいました。
じつは、そこに至るまでに
わたしは、Yさんに
「社長に任せていただいた資料作り、進んでる?」
「そろそろ社長も資料を見たいだろうから、
今のうちに作っておきなよ」
と、何度か声をかけていました。
しかし、なかなか作業が進まず、
「あぁ、もう、
自分でやってしまった方が早いな・・」
と、思ってしまったところがありました。
また、
これ以上、やるように言っても
きっとやらないだろう・・
という、諦めもあったように思います。
ですが、それが
いかに冷たいことだったのか。
わたしは結局、Yさんが
資料作りをやり遂げるところまで
見届けることを諦め、
「自分でやる」という
最も簡単な選択肢へ逃げてしまっていたことに
気づかされたのです。

▲パン工房の工事にも立ち会いました。
北極老人(以下:先生)や社長は
わたしたちの仕事に対して
常に、様子を気にかけ、
相談に乗ったり
時には、現場にまで足を運んで
状況を見たりしてくださいます。
しかし、
そうやって、手を差し伸べながらも、
その人が向き合うべきテーマと対面した時には
安易に、手を出したり
助けたりということは、されません。
それは、わたしたちが
自分の乗り越えるべきテーマに対して、
どう向き合うか?
そこから、何を学ぶか?を
見てくださっているからです。
テーマと向き合っている本人も、
今の自分の能力では
できないし、わからないからこそ、
神様にも、必死の思いで祈り続けながら
死に物狂いで考え
周りの力も借りながら、
いただいたお役目をやり遂げる。
そんな日々の中で、
〝御魂(みたま)磨き〟できるようにと
今の自分にとって
簡単にはできない仕事を
あえて、任せてくださることもあるのです。
(つづく)