本物の梅干しが消える?

「梅干し」には、大きく分けて2種類あるってご存じでしょうか?
食品パッケージの裏面には原材料名などを記載したシールが貼られていますが、その名称の項目を見ると、「梅干し」と書かれているものと、「調味梅干し」と書かれているものがあります。この2つの大きな違いは、原材料と製法です。
「梅干し」と書かれているものは、昔ながらの伝統的な製法で作られた梅干し。原材料もシンプルで、梅と塩のみです。塩分のおかげで、保存食としても親しまれてきました。
一方、「調味梅干し」は、いったんでき上がった「梅干し」を、水につけて塩抜きしたものに、はちみつやかつお節風味の化学調味液で味付けしたものです。塩が抜けて保存が効かなくなっているので、保存料などの添加物を加えたり、ステビアなどの人工甘味料で甘味を加えたりしています。
このように、塩分がなくても美味しくなるようにアレコレ手を加えられ、アレンジされた梅干しを「調味梅干し」と呼んでいるのです。
これは、本来の「梅干し」とはまったく異なるものなので、名称で区分しているのですが、問題は、スーパーなどで販売されている梅干しの大半が、「調味梅干し」ばかりになりつつあるということ。そうなると、「梅干し」といえば、「調味梅干し」でしょ、と思う方が増えてしまうのは止められません。
そして、本物の「梅干し」が売り場から姿を消してしまう……そんな流れがすでに始まっているのです。
ひどい法改正!手作りの味が消えていく
さらに、手作りのお漬物を販売する農家さんに大きな打撃を与えたのが、昨年の食品衛生法の改正です。
これは、法律が定めた衛生基準を満たす施設を持っていないと「販売許可」が得られない、というもの。しかし、この法基準を満たすには多額の費用がかかるのです。
もともと小規模かつ手作りで細々とやってきた個人の農家さんには、あまりにも高すぎるハードル。これを機に、梅干しやお漬物づくりを断念される方も少なくないとか。実際、道の駅や田舎の商店街からは、すでに手作り梅干しが消えていっています。
このままでは、日本全国どこに行っても、店頭に並ぶのは大量生産された同じ食品ばかり。〝地域の味〟や〝手作りの美味しさ〟を楽しむ機会が今失われつつあるのです。
そこで、美味しい梅干しを日常的に楽しむには? 未来に本物の梅干しを残すには? と考えて、たどりついた答えが、「自分たちで作っちゃおう!」でした。

梅干しを家庭で漬けるのは、実は、それほど特別なことではありません。質のいい「生梅」と梅を漬ける瓶、干すためのスペースさえあれば、どなたでもつくれます。
そこで、寿の梅干しチームでは、昨年、初めておうちで梅干しを漬けていただく企画「おうちで寿」をスタートしました。この新企画に、たくさんの方が参加してくださり、ご自宅で梅干しづくりを体験されました。
ご感想を伺うと、ご自分で漬けた梅干しはとても愛着がわくようで、美味しさも倍増!お子様がいらっしゃるご家庭では、親子の会話が変わったり、苦手だった子が梅干し大好きになったりと、嬉しい変化が多かったようです。手作りはやはりパワーが違います。

「おうちで寿」企画、2025年も開催いたします。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。一緒に「梅干し文化」を守っていきましょう!
■梅干しファミリー公式Instagram https://www.instagram.com/kotobuki.umeboshi/
■おうちで寿HP https://ume-uniwa.com/ouchi-kotobuki