スサノオの香りができるまで〜葛飾北斎にヒントを得て〜

皆さま、こんにちは。調香師の山田夕夏です。


調香師 山田夕夏


わたしはふだん天然香料を使って、オリジナルの香水を作らせていただいているのですが、本日は絵画の構成から学んだことを、香りの創作にどのように活かしているか、少しお話しさせていただきたいと思います。

今回は、「スサノオの香り」をつくるにあたってヒントとなった絵画を紹介いたします。



北斎『甲州石班澤』に隠された色彩の秘密



葛飾北斎「甲州石班澤」
葛飾北斎「甲州石班澤」(https://www.fujibi.or.jp/collection/artwork/06143/)



葛飾北斎(かつしかほくさい)の「富嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」全46図の中の一つ、「甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ)」を観る機会がありました。

この作品から、特に主役を引き立たせる〝反対色〟の使い方について学びました。

この絵の中央には、漁師が描かれています。

周りの岩や水の緑に対して、漁師が着ている服は鮮やかな赤色。

緑の反対色は赤で、この対比によって、漁師の存在が一層引き立って感じられます。

しかし、不思議なことに、紅一点であるはずの漁師の赤い服は、ことさらに目立って浮いて見えるわけではなく、むしろ全体の中で落ち着いた印象を与えているように感じます。

なぜでしょうか?

その理由は、じつは背景の富士山にかかる霞(かすみ)にありました。



甲州石班澤の霞部分の拡大図



よく見ると、この霞にも、わずかに赤色が混ざっていることに気がつきます。

霞に含まれた淡い赤色が、手前にいる漁師の服の赤色と調和し、絵全体に落ち着きをもたらしているのです。



色彩の学びを、香りの表現へ


この絵画から得た「反対色の調和」という考え方は、スサノオの香りの創作にも大きなヒントを与えてくれました。

この気づきを北極老人にお話ししたとき、北極老人から、スサノオの神話を、その物語の流れそのままに香りで表現してみてはどうか、というアドバイスをいただきました。



スサノオの物語


ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、スサノオという神様は、イザナギノミコトが黄泉の国から戻り、禊(みそぎ)をおこなった際に生まれた三貴子(みはしらのうずのみこ)の一柱(ひとはしら)です。

太陽の神・アマテラスオオミカミ、月の神・ツクヨミノミコトと並び、地球(あるいは大海原)を司る重要な神様でありながら、母を恋しがって泣きわめいてばかりいたと神話に残っています。

その振る舞いから、一時は天界を追放されるほどでした。

しかし、スサノオは、恐ろしい八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、美しい娘を救った英雄へと劇的な変貌を遂げるのです。

まるで一度死んで生まれ変わったかのような、大きな変化...。

その根底には「大死(たいし)一番」、つまり「今日が最後の一日だと思って生きる」という、強い覚悟があったと言われています。

わたしは、このスサノオの物語――はじめは頼りなく、うじうじとしていた状態から、覚悟を決めて困難に立ち向かい、英雄へと成長していくスサノオの変化――を、そのまま香りに映し出したいと思いました。



香りで描く、心の移ろいと力強さ


この絵画からの学びやインスピレーションをもとに、香りの構成を具体的に考えました。

トップノート(最初の香り)は、スサノオの涙や、やや湿り気を帯びた瑞々しい心の状態を表現するため、ウェッティな印象(全体的に青のイメージ)で始まります。

そして、物語が進むにつれて覚悟が決まっていくように、ベースノート(最後の香り)では、カラッとした明るさ、力強さ(黄色のイメージ)へと変化していくように設計しました。

ここで、北斎の絵画での学びが生きてきます。

トップノートの青い印象の中に、ベースノートの要素である黄色(ゆず)をほんの少しだけ加えることで、二つの異なる印象が唐突に切り替わるのではなく、自然に馴染み、移り変わっていくように工夫しました。

この反対色の使い方、響き合わせ方を、試作を重ねながら探求していったのです。



完成した香り


そうして試行錯誤の末に完成した香水が、こちらになります。

【功徳】能力が開花する、限界を突破する



完成したスサノオの香水



◆この香りは、たとえばこんな想いを持つあなたにおすすめです

自分の限界を超えたいと願うとき

秘めたる能力を開花させたいと感じるとき

もっと仕事ができるようになりたいと努力しているとき

誰かのために貢献できる自分になりたいと願うとき

香りの色は、変化のはじまりを示す「青」。

ジャスミン、ジャスミンサンバック、ブルーベリーが織りなす、瑞々しくウェッティな香りから、次第に柚子(ゆず)や楠(くすのき)、オークモス、そしてフランキンセンスなどの明るく、地に足のついた香りへと移り変わっていきます。

まるで、スサノオの心に覚悟が決まっていく過程を追体験するようです。

この香りが、あなたの内に眠る力を引き出し、限界を突破するための一助となれば幸いです。


使用した精油たち


◆ 使用した主な精油 ジャスミン、ジャスミンサンバック、ブルーベリー、ゆず、オークモス、楠、エレミ、イモーテル、フランキンセンス、ミモザ、シダーウッド、杉

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